『世界』と『終』  ——僕がきみを殺したら——
「終さん、永岡先生を見張るつもりなのですか?」

「自宅の住所が分かればいいんだが」


個人情報保護がやかましく言われるご時世だ。僕の通う高校も、名簿をとっくに廃止している。

彼が担任しているクラスだったら、年賀状でも口実に住所を入手できるだろうが、残念ながらそうではない。



「入手できないか」

「できなくはないと、思いますが・・・」


西森の瞳がゆらぐ。
いつもなら向こう側まで見とおせそうなほど澄んだ瞳のその奥で、なにか思惑をもってうごめくものがある。

そんな西森を見るのは、初めてだった。
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