『世界』と『終』  ——僕がきみを殺したら——




西森は、奈落の底によこたわっていた。

後ろ手に回された手首には、にぶく光る手錠がはめられ、両足首も同じタイプの足錠で拘束されている。

手錠と足錠は背にそって鎖でつながれ、一体式になっている念の入りようだ。


講堂に常設されている舞台の下だった。

舞台のそで、壇上にあがる階段の横にある小さなドアを開けて、内部をうかがった。

暗がりに支柱が何本もならび、金属製のパイプが交叉して、舞台を支えている。
ドアから入るかすかな光は闇に吸いこまれ、奥の様子はうかがいしれない。


携帯のバックライトを点け、足を踏み入れた。
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