『世界』と『終』  ——僕がきみを殺したら——
「非効率的な殺人だな」


ほんとうに、西森が目を細める。
笑ったのだろうか。


「いま、何時ですか」


9時32分。携帯の画面を見たとおりに、こたえる。


「目覚まし時計の時刻は何時になっていますか?」


慎重に首輪をまわし、文字盤に目をこらす。11時40分だ。実際の時刻とずれている。
そう西森に告げる。

つぶさに観察すると、どうやら目覚まし時計はガラスが外されている。

短針と目安針に、先端が切られ銅線が露出した三色コードが幾重にも巻きつけられていた。


「あと20分あるんですね」
変わらぬ澄んだ声だ。
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