『世界』と『終』  ——僕がきみを殺したら——
カチコチ、カチコチ、カチコチ、カチコチ、カチコチ、カチコチ、カチコチ、カチコチ、カチコチ、カチコチ、カチコチ、カチコチ・・・・・————



耳を圧する秒針の足音のなかで、指は別個の意志をもつ生き物のように動き、曲がり、伸びる。
目覚まし時計と、その針に巻かれたコードをめざす。

頭蓋が割れるかのような脈動と、秒針が刻をけずる音がかさなる。


関節の限界をこえて伸ばされた中指の先が、目安針から伸びるコードに触れる。

爪の先でひっかけ、寄せたところを薬指と中指ではさみ、詰めた息を吐いて、引く。
針をわずかにぶれさせながら、コードがぷつりとほどける手ごたえがつたわる。

するすると手中に引き寄せる。


と、カチッと目覚まし時計内部から作動音が響く。
つづいて、ジリリリリリ・・・・・けたたましく、目覚ましのベルが響き渡る。

12時だ。

爆発は起こらない。



西森は、まぶたを閉ざしていた。
< 76 / 99 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop