Sweet Room~貴方との時間~【完結】
 杉山も私も離れようとする気配はない。でも何だか恥ずかしくなってくる。2回も同じベッドで眠ったことはあっても、それとこれとは全く別。お互いの気持ちが同じだってわかっている状態で相手の体温を感じるのは照れる。

「いつまでこうしているつもり?」
「あと5分くらい、こうしていたいです」
「ねえ、これからも敬語で話すの?」
「じゃあ、やめた」と即答をした。
「杉山って、単純」
 私も杉山も笑っていた。 

「いつまで名字で呼ぶの? 奈央美」
「す、りょ、涼太」
 私は慣れない名前を呼んだ。声は上擦ってしまい、情けない感じになってしまった。
「そんなに緊張しなくていいじゃない? セレモニーパーティーのときは散々呼んでたし」
「それとこれ……」
 突然、唇が塞がれた。言おうとしていた言葉は簡単に頭の中から消えてしまう。
「りょ、涼太」
「奈央美、照れてる」

 自分の顔が赤くなるのを感じた。それを隠すように杉山の胸に顔を押し付ける。
「土曜日、宏実さんとエステ行ってね、リラックスできるなと思ったんだけどね。こうやって、す、涼太に抱きしめてもらう方がずっとほっとする」
「なら、毎日、抱きしめるよ」

 こうやって毎日、杉山に甘やかされるのは極上の幸せかもしれない。
 結婚した友達が前に言っていた。世の中には善い甘やかし方があるのよ。相手を支えるための甘やかし方。そんな人に出会えたなら、絶対に離れたらだめだと思っていたの。だからそんな人だったから、彼と一生一緒にいようって決めたんだ。
 それを聞いたときは理解できなかったけれど、今はわかる。杉山は私を幸せな方へ持っていくために、甘やかしてくれる人。
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