Sweet Room~貴方との時間~【完結】
「悪い、待たせた」
 松下さんとその後ろに小柄な女性がいた。

「いいえ、俺達も来たばかりですから」
 涼太の前に松下さん、私の前に松下さんの彼女が座った。

「初めまして。匠(たくみ)がいつもお世話になっております。野沢亜希(あき)です」
 野沢さんはふわっと微笑んでいる。一言で言えば小柄でかわいらしい女性だった。そして私の第一印象はタンポポの綿帽子。柔らかくてふわふわして、すっと飛んで行ってしまいそうなんだけれど、大事なものは手放さない感じ。

 私と涼太の予想ではスレンダーな美人系。でも、松下さんが野沢さんを選んだのは納得できた。多分、温かい人が良かったんだと思う。その気持ちは私もよくわかるから。

「初めまして、杉山涼太です」
「佐伯奈央美です」
 野沢さんが私と涼太の顔を交互に見た。そしてクスクスと笑い出した。

「あの、どうかしましたか?」と聞いてみる。
「ごめんなさい。匠がバカップルオーラを出しているって、言っていたから」
「松下さん、俺たちのこと、そんな風に思ってたんですか?」
「ああ、大好きですってオーラ全開だろ」
 私達はそんなオーラを出してたのかな? 隣をちらっと見ると、涼太もこっちを見ていた。

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