Sweet Room~貴方との時間~【完結】
「まだ付き合って半年くらいですから、そこまでは」
「そうなんだ。ねえ。例えばさ、これから3年くらい付き合って別れた時のこと考えてる?」
「何、言ってるんですか。私はそんな悲観的な感情を持ってお付き合いしたりしません」
 少し頭にきてしまい、強い口調で答えてしまった。

「ごめん。ちょっと酷いこと言ったね。でも、もし3年後に別れたら、佐伯は31だよ。でも、彼は28。これって、佐伯の方がリスク大きくない?」
 それは言われなくてもわかってる。涼太と付き合いだした頃、自分が30の時、涼太はまだ27なんだと思った。今の私よりも若いんだなと思い、少し凹んだ。それでも涼太が誰よりも好きだったから、彼と一緒に居ようと決めたんだ。
 私は何も答えず居た。

「俺だったら、そういう心配いらいないよ。最後まで責任を取るつもりだから」
 何を言っているんだろこの人は。目の前に座る中野先輩から目線を逸らした。

「お待たせしました。山菜うどんと力うどんです」
 重苦しい空気を破るように店員さんが来た。

 私は割り箸を割って、うどんを啜った。さっき冗談で言った言葉が現実となった。うどんが美味しいとか不味いとか、そういう感想が全く出てこなくて、無言で完食した。

 うどん屋を出ると「佐伯」と声をかけられた。
「さっきは悪かった。でも、俺が言った言葉に嘘は1つもないから」
 中野先輩は私に背を向けて、来た道を戻って行った。
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