Sweet Room~貴方との時間~【完結】
アルコールのコーナーへ行き、シャンパンを2つ手に取る。彼女の所へ戻ると、長身の男と話していた。どう見てもナンパされている。彼女はあからさまに嫌そうなオーラを出しているのに、男は全くひるむ様子はない。
「奈央美」
「あ、す、涼太。ありがとう」
彼女にシャンパンを渡し、男に会釈――できればしたくないが、大人のマナーとして――をして、場所を移動した。
「なんですか、あれ?」
男の方を向いて、顎で差した。
「ざっくり言えばナンパ」
「気をつけてください。ここに居る間は俺から離れないでください。いいですね」
「うん」
はあ、焦った。ああ、こんなことで佐伯さんの下の名前を呼び捨てにしたくないよ。初めて『奈央美』って呼んだのに。初めて『涼太』って呼ばれたのにさ。
佐伯さんをナンパする男の前では『奈央美』と『涼太』と呼び合って、回避していた。キツイ香水の匂いを撒き散らす女が、俺に話しかけてきた時の彼女はすごかった。
「涼太、少し疲れたから外に出ない?」と言って、俺の左腕に佐伯さんの右手が絡ませてきた。
「大丈夫か、奈央美。外出よう」
俺たちは一旦、会場を出た。
俺は心の中で「佐伯さん、そんなに密着しないでください。その胸が、胸が当たっているんですよ」と叫んでいた。あのときはヤバかった。男の事情を理性総動員で回避した。
「奈央美」
「あ、す、涼太。ありがとう」
彼女にシャンパンを渡し、男に会釈――できればしたくないが、大人のマナーとして――をして、場所を移動した。
「なんですか、あれ?」
男の方を向いて、顎で差した。
「ざっくり言えばナンパ」
「気をつけてください。ここに居る間は俺から離れないでください。いいですね」
「うん」
はあ、焦った。ああ、こんなことで佐伯さんの下の名前を呼び捨てにしたくないよ。初めて『奈央美』って呼んだのに。初めて『涼太』って呼ばれたのにさ。
佐伯さんをナンパする男の前では『奈央美』と『涼太』と呼び合って、回避していた。キツイ香水の匂いを撒き散らす女が、俺に話しかけてきた時の彼女はすごかった。
「涼太、少し疲れたから外に出ない?」と言って、俺の左腕に佐伯さんの右手が絡ませてきた。
「大丈夫か、奈央美。外出よう」
俺たちは一旦、会場を出た。
俺は心の中で「佐伯さん、そんなに密着しないでください。その胸が、胸が当たっているんですよ」と叫んでいた。あのときはヤバかった。男の事情を理性総動員で回避した。