Sweet Room~貴方との時間~【完結】
 立食パーティは1時間半で終わった。俺たちは直帰ということになっている。

「佐伯さん、家まで送りますよ。」
「まだ19時前よ。大丈夫」
「その格好で1人は危ないですから」
 彼女は特に反論もせずいたので、送ることを了解してくれたと思い、隣を歩いた。
 アパートの近くを歩いていると「うわ」と、佐伯さんが歓声を上げる。視線の先を辿ると、満開の桜があった。

「あそこの公園で少し見ていきましょうか? 夜桜見物」
「うん」と彼女が嬉しそうに返事をしてくれた。
「奇麗だね」
「そうですね」
 桜を見上げる佐伯さんの横顔が奇麗だった。顎から首筋にかけてのラインが白く夜空に浮き上がっている。
 あの肌はどんな感触なんだろう。そんなバカな下心が頭を覗かせていた。

「ねえ、杉山」
「はい?」
「杉山は、人を助けるためなら、誰にでも彼氏のフリをするの?」
「え?」
「だから、誰にでも彼氏の振りをするの?」と、佐伯さんが俺を見つめながら言った。
「しないですよ」
「じゃあ、なんで? 私の彼氏のフリをしたの?」
「願望です」
 俺を見つめる目が、丸くなる。

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