Sweet Room~貴方との時間~【完結】
「なに言っているのよ」
「俺、本気です。佐伯さんが好きです。最初は年上なのに危なかったし感じがして心配だった。でも、佐伯さんのいろいろな面を見て、だんだん気になって。上田さんのことで自覚しました。佐伯さん、前に酔っ払ったとき『幸せになれる』って、俺に聞いてきました。それも答えます。幸せになれます。俺が幸せにします」
 2人の距離を少しずつ縮めなら、自分の気持ちを伝える。

「今すぐ、返事はしないでください。ちゃんと考えてください。それで職場の後輩以外見えないって言うならそれでいいです。今までと変わらず先輩後輩でいます」
 彼女は何も言わなかった。
「帰りましょう。だいぶん涼しくなってきましたし」
 公園を出るために彼女に背を向けて歩き出す。
 ヘタレだな、俺。今日、返事を聞く勇気がないんだから。


「待って」
 振り向くと彼女は2人で話していた場所から1歩も動いていなかった。
「考えなくたってわかるよ。さっき、杉山に『奈央美』って呼ばれて嬉しかった。杉山に色目を使う女にイライラしたの」
 彼女の方へゆっくり近づく。
「それって佐伯さんも俺と同じ気持ちだって、思ってもいい?」
 顔を真っ赤にしながら彼女は頷いた。
「じゃあ、言って」
 そう言うと彼女は口を何度もパクパクさせながら小さい声で「す、好き、です」と言った。
「俺も好きだよ」
 彼女の右手を握って、公園を出た。

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