Sweet Room~貴方との時間~【完結】
「涼太の手って、温かいよね」
「そうかな」
「うん。涼太の手や腕って、温かくて、優しいの。酔っ払って、服を握っちゃったのも、きっとそのせいよ」
「温まりたかったらいつでも言って。いっぱい抱きしめてあげるから」

 奈央美は俺の首に腕を巻きつけると、耳元で「今、いっぱい温めてほしい」と小声で言った。
 俺の腕の中に彼女を閉じ込める。ゆっくりと着ているものを剥ぐ。サテン素材のワンピースはするりと体を沿うように流れ落ちた。体のラインを確認するように手や舌を這わす。
 彼女の全てが薄いピンク色に染まり、柔らかく熱くなる。
 柔らかな体を壊さないように、ゆっくり自分の熱を埋めていく。そして優しく揺り動かす。
「りょ、う……た」
 か細くて、小さく震えた声で俺の名前を呼ぶ。

「奈央美、好きだよ」
 その一言で嬉しそうに微笑んでくれた。

 熱いに交じる甘美な声を聞きながら、高みへ登っていく。
 夢のような甘い時間のあと、肌を隙間なく合わせたまま、眠りについた。

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