Sweet Room~貴方との時間~【完結】
「奈央美?」
「ねえ、普通はプロポーズの時って、婚約指輪くれるんじゃないの? 私、プロポーズのときに、好きな人から指輪を填めてもらうのが夢だったんだけど」
「え、それって」
 奈央美は自分と同じ顔をしたテディベアのキーホルダーを俺の前にかざした。

「しょうがない。もう一回、婚約指輪ありでプロポーズしてね」
 俺はテディベアのキーホルダーを受け取った。奈央美はもう1つのキーホルダーを揺らしている。
「黒のポメラニアンか。涼太に似てるね、この子」
 俺の顔とポメラニアンを見比べて言った。
「似てないよ。俺の方が目が大きいよ」
「私は賢い顔をしてるって褒めたのに」
 俺たちは同時に吹き出した。

「涼太、ごめんなさい。私も酷いこと言った。自分が隠し事をしたのも、年のことも、自分の判断でそうしたのに、全部、涼太のせいにした。年の差はどうやったって縮められない。でも、そのせいで起こる嫌なことや苦しいことは、ちゃんと話していこう。本当に、ごめんなさい」
「ああ、そうしよう。隠し事は止めよう。どんなに恥ずかしい感情も見せていこう。俺たちならお互いのどんな面だって、受け止めていけるよ」
「うん」

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