Sweet Room~貴方との時間~【完結】
 鍵をしまい、ポケットから小さいぬいぐるみを出す。モカブラウン色のテディベア。キーホルダーのテディベアをそのまま大きくしたようなデザイン。
 奈央美が不思議そうに、そのテディベアを見ている。

「改めてプロポーズさせてください。佐伯奈央美さん、僕と結婚してください」
 テディベアを奈央美の右手に乗せる。それをじっと見つめていた奈央美の目が赤くなった。
「これ、指輪?」
 テディベアの左手に填っている指を触りながら言った。
「ああ、貸して」
 テディベアから指輪を抜き取り、奈央美の細くて白い指に指輪を填める。

「サイズ、ピッタリ。どうして?」
「前、俺の部屋に指輪、忘れていっただろう? その指輪の号数を姉ちゃんに調べてもらった。いつも右手の薬指に填めてたから、左手も変わらないだろうと思って」
 奈央美が嬉しそうに微笑んでくれた。久しぶりに笑顔を見れた。
「ありがとう。どうぞよろしくお願いします」
 奈央美が俺に抱きついてくる。俺も奈央美の背中に腕を回して「よろしくお願いします」と言った。

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