Sweet Room~貴方との時間~【完結】
「どうしたの? 大丈夫?」
「えっ、ああ、大丈夫ですよ」

 ただの寝不足かな。
 朝ごはんを残さず食べてくれた杉山が、食器を手際よく重ね始める。

「片付けなんていいよ」
「いや、後片付けくらいはやらせてください。ご馳走になったお礼に」
「いいから。昨日はいろいろ迷惑かけちゃったし、そのお礼なんだから。お礼にお礼で返されたら困るしね」
 そう言っても引かない杉山の背中を押して、無理矢理ソファに座らせた。

「杉山は、ここに座ってゆっくりしてて」
 頷いた杉山を残して、後片付けを始めることにした。


「ごちそうさまでした。じゃ、俺はこれで」
「うん。昨日は、というか、昨日もありがとう。気を付けてね」
 杉山のコートを手渡し、靴べらを渡した。

「はい。失礼します」
 靴べらを置くと、ドアを3分の2くらい開け、杉山が振り向いた。小さく手を振ると、振り返してくれた。
 ドアがバタンと閉まり、鍵を閉める。居た人が居なくなるのは微かな寂しさを運んできた。
 溜息を吐いてからリビングへ戻ると、ローテーブルの上に杉山の携帯があった。

 ああ、忘れてる。
 携帯を手に取って、玄関を出ようとしたとき、インターフォンが鳴った。
 ナイスタイミングと思い、ドアを開けた。杉山の顔を浮かべながら。
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