Sweet Room~貴方との時間~【完結】
「やめて! 啓介!」

 喉が痛くても、必死に声をあげた。そんな声は何も届かない。荒い息を吐き出しながら首筋に顔を埋うずめてきた。

「ねえ、啓介お願いやめて! こんなことする人じゃなかったじゃない」
「ナオが僕から離れるから……、ナオがいけないんだ!!」

 叫ぶように言うと、手がカーディガンの方へ動いた。胸元から糸が切れる音が聞こえてくる。そしてボタンが転がる音が耳元で響いた。

「お願い……、やめて、お願い」

 ショックで手が自由になっているのに、懇願することしかができなかった。啓介の手はスキニージーンズのボタンとファスナーへと向う。

 もうだめだ。

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