Sweet Room~貴方との時間~【完結】
「やめろ! お前、何やってんだよ!」
激しい足音と共に杉山の声が部屋に響いた。
やっぱり杉山が居た……。
押さえつけられていた体が自由になる。遠くで何かがぶつかる音がいくつも聞こえる。何が起きているのか見ることもできず、引きちぎられた服を呆然と眺めていた。音が止むと視界にネイビー色のものが広がる。そして体が優しい温もりに包まれた。
「す、ぎっやま」
自分が発した声で、初めて泣いていることに気づいた。
「大丈夫です。俺がいますから」
「お前、ナオの新しい彼氏?」と、玄関の方から啓介の声が聞こえてくる。顔を見るのが恐くて、杉山の胸から顔を上げることができなかった。
「だったら何だよ」
普段の杉山からは想像できないような低すぎる声で言った。
「俺さ、3カ月前、急にナオに振られたんだ。お前が原因か」
この人は自分のことを顧みず、そんなことを考えていたの?
「ち、がう、違うわ。彼は関係ない。啓介と別れた理由は、啓介自身がよくわかってるんじゃない?」
「何だよ、それ」
埋めていた顔を上げて、杉山の肩ごしに啓介を見た。唇の端は赤く腫れていた。玄関に力なく座り込んでいる啓介をまっすぐ見つめる。
激しい足音と共に杉山の声が部屋に響いた。
やっぱり杉山が居た……。
押さえつけられていた体が自由になる。遠くで何かがぶつかる音がいくつも聞こえる。何が起きているのか見ることもできず、引きちぎられた服を呆然と眺めていた。音が止むと視界にネイビー色のものが広がる。そして体が優しい温もりに包まれた。
「す、ぎっやま」
自分が発した声で、初めて泣いていることに気づいた。
「大丈夫です。俺がいますから」
「お前、ナオの新しい彼氏?」と、玄関の方から啓介の声が聞こえてくる。顔を見るのが恐くて、杉山の胸から顔を上げることができなかった。
「だったら何だよ」
普段の杉山からは想像できないような低すぎる声で言った。
「俺さ、3カ月前、急にナオに振られたんだ。お前が原因か」
この人は自分のことを顧みず、そんなことを考えていたの?
「ち、がう、違うわ。彼は関係ない。啓介と別れた理由は、啓介自身がよくわかってるんじゃない?」
「何だよ、それ」
埋めていた顔を上げて、杉山の肩ごしに啓介を見た。唇の端は赤く腫れていた。玄関に力なく座り込んでいる啓介をまっすぐ見つめる。