Sweet Room~貴方との時間~【完結】
「いいですよ。うちに行きましょう。俺、映画好きでDVDが結構あるんで、一緒に見ましょうか?」
「うん」
「あの、今夜、ここに1人で大丈夫ですか?」
「平気だよ」

 夕ごはんまで一緒にいさせてくれれば大丈夫だと思った。その時までにはいつもの強がりできるはずだから。

「嘘ですね、それ。嘘っていうより、強がりかな」と、あっさり見抜かれてしまった。
「な、大丈夫よ。あれだけ言えば、彼だってもう来ないだろうし」
「そういう問題じゃないでしょ。佐伯さんの気持ちでしょ。寝る前とか、帰ってきたときとか、恐くなったりしませんか?」
「それは……」

 全くないとは否定できなかった。多分、恐いと思うだろうし、また泣く気もする。

「でしょ。うちに泊まりませんか? 今日、姉も泊まるんで、心配ありませんよ」
「そんなに迷惑かけられないよ」
「迷惑だったら、初めからこんなこと言いませんよ。それに俺が心配なんです。せめて、俺の家に泊まることに遠慮しているなら、お兄さんの家に泊まるか、ホテルに泊まるなりしてください。どうしますか?」

 もう強がりは通用しないと、覗き込んでくる杉山の顔を見て思った。
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