Sweet Room~貴方との時間~【完結】
「兄は深夜も仕事をしているし、最近、彼女というか婚約者がいるから、兄の家に行くのは無理。本音を言うと、1人は恐いかも」
「じゃあ、決まりです。俺の家に泊まってください。いいですね?」
「はい」
「荷物、まとめてください。あと、これ」と、杉山はアイボリー色のA4サイズの紙袋を差し出した。
「捨てたい服、これに入れてください。捨てておきますから。言っておきますけど、ここで遠慮はなしです」
 先を読まれたか。

「わかった。ありがとう。今日だけは、杉山の言葉に全部甘えることにする。いいかな?」
「そうしてください」

 紙袋を手に、パーティションの裏に回った。紙袋を開くと、中にはボタンが転がっていた。
 杉山が散らばったボタンを拾ってくれたんだ。最近の私は杉山に助けられっぱなしだ。
 カーディガンとスキニージーンズを入れて、1泊分の荷物をトートバックにまとめた。
 リビングへ行くと「準備できました?」と杉山がジャケット羽織りながら聞いてくる。
「うん」
 テーブルの上はボウルやマグカップは片付けられていて、ベランダへ繋がる窓は鍵がちゃんと掛けられていた。

「片付けてくれたんだ。ありがとう」
「はい。ハンドタオルはランドリーボックスの中に入れておきました」
 そして当たり前のように私が持っているトートバックを持とうとした。
「いいよ、杉山。これくらい自分で持てるし」
「持ちますよ。着替えとかが入っているなら、それなりの重さでしょ。じゃあ、行きましょうか。忘れ物や戸締りは大丈夫ですか?」
「大丈夫」
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