Sweet Room~貴方との時間~【完結】
 杉山は仕返しとばかりに、お姉さんの小皿に白菜をどっさりと入れた。生のままで。

「自分の下着だけだろ。それか洗濯機のスイッチを押しただけだろ。アイロン掛けや干すのは俺がやってた」
「アイロンぐらいはやってたわよ」
「それは彼氏のユニフォームとかだろ」
「うるさいわね。小姑みたい。そんな性格だから彼女ができないのよ」
「ほっとけ」

 こんなに賑やかな食卓って、久しぶりだな。友達がどんどん結婚していって、1人で食事をすることが多くなっている。暖かな空間に私は癒されていた。


 しゃぶしゃぶが食べ終わり、お皿洗いだけは手伝いと思っていたのに、宏実さんにお風呂場に連れて行かれてしまった。

「ナオちゃんは何もしなくていいの。ゆっくり温まって。そこのラックにあるバスソルト、私のだから使って。ラベンダーの香りがして癒されるよ」
「うん。ありがとう」

 ドアが閉まり、バスソルトを手にとった。それは輸入雑貨店で買ったもののようだった。蓋を開けると、ふわっとラベンダーの香りが広がる。バスタブに入れると香りは更に濃くなった。
 ラベンダーの香りが広がるバスルームの中で、ぼーっとしてみる。少し意識をしないとぼーっとできない。それはぼーっとしているとは言えないかもしれない。それでも、今の私ができる無意識だった。
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