Sweet Room~貴方との時間~【完結】
髪の毛を拭きながらリビングへ行くと、部屋の明かりは落とされている。
「あ、ナオちゃん。部屋に布団敷いて置いたから」
和室から出てきた宏実さんが言った。
「ありがとう。あれ、杉山は?」
「あいつなら、もう寝たんじゃないかな。私もお風呂入ろう」
「バスソルト、すごくよかった」
宏実さんは「でしょ。じゃ、おやすみ」と言って、私の横を通り過ぎていった。
襖を閉めて、布団の中に潜り込む。お風呂で温まった体には、布団がいつも以上に冷たく感じる。だんだんと布団の中が暖かくなり、ゆっくりと意識が遠のいた。
――ガタッ
突然の物音で目が覚めた。なんだろうと思い、部屋を見回すと、トートバッグの上に置いていた化粧ポーチが落ちた音だったらしい。壁に掛かっている時計を見ると1時8分を差していた。
自分の神経の図太さに少し笑ってしまった。あんなことがあったのに、普通に眠れるって。もう一度寝ようと思い、目をつぶり何度も寝返りを打った。元彼のことを思い出してしまい、意志とは反対にどんどん頭の中が動いてしまう。横になっているのも苦痛になってきて、肩にストールを掛けて部屋をでた。
ソファに座り、勝手に蘇ってくる記憶を眺めてみる。優しく、おっとりしている彼といることが好きだった。でも、彼には女の影があった。最初は薄くて目立たなかったのに、最後の方は余りにも色が濃くて、影というより亡霊のように私を悩ましていた。あの別人の彼は、その亡霊に取り憑かれたのかな。
「あ、ナオちゃん。部屋に布団敷いて置いたから」
和室から出てきた宏実さんが言った。
「ありがとう。あれ、杉山は?」
「あいつなら、もう寝たんじゃないかな。私もお風呂入ろう」
「バスソルト、すごくよかった」
宏実さんは「でしょ。じゃ、おやすみ」と言って、私の横を通り過ぎていった。
襖を閉めて、布団の中に潜り込む。お風呂で温まった体には、布団がいつも以上に冷たく感じる。だんだんと布団の中が暖かくなり、ゆっくりと意識が遠のいた。
――ガタッ
突然の物音で目が覚めた。なんだろうと思い、部屋を見回すと、トートバッグの上に置いていた化粧ポーチが落ちた音だったらしい。壁に掛かっている時計を見ると1時8分を差していた。
自分の神経の図太さに少し笑ってしまった。あんなことがあったのに、普通に眠れるって。もう一度寝ようと思い、目をつぶり何度も寝返りを打った。元彼のことを思い出してしまい、意志とは反対にどんどん頭の中が動いてしまう。横になっているのも苦痛になってきて、肩にストールを掛けて部屋をでた。
ソファに座り、勝手に蘇ってくる記憶を眺めてみる。優しく、おっとりしている彼といることが好きだった。でも、彼には女の影があった。最初は薄くて目立たなかったのに、最後の方は余りにも色が濃くて、影というより亡霊のように私を悩ましていた。あの別人の彼は、その亡霊に取り憑かれたのかな。