Sweet Room~貴方との時間~【完結】
「俺、大丈夫です。誰かに相談すると楽になる。それは相手にほんの一部でも自分のなにかを預けたからかもしれません。でも、それで相手が笑顔になったり、前を向いたりしてくれれば、自分が相手から預かったものはなくなると思います。だから、話してください」
「杉山って、ときどき私より年上に見えるよ」
「中3から主夫をやっていたんで、精神年齢は高いと思います。あと妹のような、女王様のような性格を持った姉もいるんで」
 宏実さんの性格を的確に表現をしていて、思わず笑ってしまった。妹のような女王様。つまりかわいい女王様ってことじゃない。

「それ、宏実さんに聞かれたら、怒られるわよ」
「内緒にしてください」
「うん。少し話してもいい?」
「はい」

「彼とは友達の紹介で知り合ったの。仕事している私を見ていればわかると思うけど、私、仕事、仕事で恋愛なんてどうでもよかった。だから、彼を紹介されてもなんとも思わなかった。とりあえずメルアドだけ交換したの。そしたら彼ね、1日1回、必ず、どうでもいいメールをくれたの。【花のケイトウって、毛糸に似てるからケイトウって言うんじゃなくて、鶏の鶏冠(とさか)に似てるからなんだって。漢字で書くと鶏頭】とか、【コンビニで新商品発見! うまそう】とか。本当にくだらないの。でも、そんなメールをすごく楽しみにしている自分がいた」

 話し始めると止まらなかった。誰かに話したかったんだと気がついた。杉山はただ相槌を打ちながら聞いてくれている。その相槌が心地よかった。
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