Sweet Room~貴方との時間~【完結】
 朝ごはんの後、お皿洗いを手伝おうとしたけれど、また2人に断られた。結局、私は杉山家では何もしなかった。ただ泊まっただけの人。2人に随分甘えすぎたなと思った。

「佐伯さん、準備できましたか?」
「うん」

 玄関に行くと杉山は靴をもう履いていた。私も靴を履くと、宏実さんがスリッパの音を立てながらこっちへやってきた。

「宏実さん、いろいろありがとうございました」
「ううん。私はすごく楽しかったよ。今度、2人でエステ行こうね。メールするから」
「はい。じゃあ、失礼します」
「バイバイ」言って手を振る宏実さんに手を振り返し、杉山と一緒に部屋をでた。


 車に乗ると杉山が行き先を聞いてくる。シートベルトを締めながら「不動産屋に行きたいの」と答えた。
「引っ越しするんですか?」
「うん。部屋も手狭になったし、心機一転ってところかな」
 杉山は心機一転という言葉に小さく反応する。昨日のことを思い出したのかもしれない。

「わかりました。どこの不動産屋でもいいですか?」
「うん。杉山にお任せする」
「はい」
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