Sweet Room~貴方との時間~【完結】
 会議室のテーブルにお弁当を広げると、杉山は「美味そう」と言った。お腹がすいていたのか、杉山は唐揚げや卵焼きを続けて頬張る。

「美味しいです。お弁当って、家で自炊するときは、余った食材で作るから手軽でいいですよね。ただ1人暮らしだと、料理が好きでも面倒で外食ばっかりになって、冷蔵庫の中が空だったり、余りすぎちゃってたりしませんか?」
「わかる。私もあるからそれ。今日のお弁当のおかげでうちの冷蔵庫がすっきりしたわよ」
 好き嫌いは特にないみたいで、杉山はどのおかずも美味しそうに食べてくれた。
「お役に立ててよかったです。俺もこの前、佐伯さんと姉ちゃんが来てくれたおかげで、冷蔵庫の野菜が整理できましたよ」

「手作りって、いいですよね。特に人が作ったもの。自分が作ったものだと、有難みが全くないですからね」と言った杉山を見て、早くに亡くしたお母さんの話を思い出した。学生の時も自分でお弁当を作っていたんだろうな。お礼のためと思って作ってきたお弁当を、また作ってあげたくなった。

「ねえ、またお弁当作ってきてもいい?」
「いや、忙しい朝に2人分のお弁当は大変じゃないですか?」
「なに言ってるの? 杉山だって料理するんだからわかると思うけど、1人分でも2人分でも大差ないことぐらい。うちの冷蔵庫の整理に付き合ってよ」
「そういうことなら協力しますよ。時々は俺の冷蔵庫の整理にも付き合ってください」

 杉山もお弁当作ってくれるんだ。それが何だか嬉しくて「いいわよ。杉山のお弁当楽しみにしています」と言った。

 この日を境に、週に1、2回、杉山とお弁当を食べるようになった。
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