Sweet Room~貴方との時間~【完結】
 4月20日『natural jewelry』のプレオープンセレモニーの日。私はセレモニー出席の準備のため、午前中を半休にした。
 美容院から杉山と待ち合わせをしている銀座駅へ向かった。駅に着くと柱に凭れている杉山を発見した。服装はいつもと変わりない杉山だけど、ちょっとふわふわした髪はワックスで整えられていた。

「杉山、お待たせ」
 声を掛けると、振り向いた杉山は目を見開いていた。やっぱり、ちょっと派手だったかな。色は濃紺で落ち着いた感じにしたけど、ドレープが効いているから立体感があるんだよね。ダメだったかな。

「杉山、どうしたの? 似合ってないかな?」と恐る恐る聞いてみる。
「そ、そんなことないです。すごい、あの、いいです。はい、ほ、本当に」
 杉山は顔を真っ赤にして言った。その顔を見て少し安心した。

「そう。行こうか」
 駅から10分くらいで『natural jewelry』が見えてきた。杉山は緊張しているようで「杉山」と名前を読んでみる。
「は、い」
 上ずった声の杉山が可愛くて、少し笑ってしまった。
「緊張してるでしょ? 大丈夫よ。私たちは招かれている側だし、スピーチをすることもないから。普通にしていましょう」
「はい」
 何とも弱々しい返事が返ってきた。大丈夫かな。緊張している杉山を横目で見ながら『natural jewelry』に入った。
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