Sweet Room～貴方との時間～【完結】
「じゃあ、これは佐伯さんの」

　杉山は私の手にコーヒー牛乳を乗せた。杉山は椅子に座り、ペットボトルのお茶のキャップを開け、飲みだした。
　あれ？　こういう場合、相手には無難な烏龍茶や緑茶を買ってくるよね。

「ねえ、もしかして自分用で買ったの？　これ」
「まあ、コーヒーが飲みたくて。俺はブラックが飲みたかったんですけど、それしか売ってなくて。ちょっと甘いなと思ってたんで、佐伯さんが飲んでいいですよ」
「ありがとう……」

　やっぱり。後輩の飲み物を奪ってしまった。

「コーヒー牛乳ならサンドイッチの方がいいですよね？」
「うん」
「どうぞ」

　杉山はサンドイッチを私の前に置く。サンドイッチはハムとレタスだった。キャップを開け、コーヒー牛乳を一口飲む。
　美味しい。糖分が体に優しく染み渡る。さっき泣いたせいか、コーヒー牛乳を飲んだだけで幸せになる。

「これから買い出しする時は、佐伯さん用にコーヒー牛乳、買いますね」
「そっ、そんなこと、いいわよ」

　それは嬉しい。でも、職場の人に絶対笑われる。そして「似合わないと」言われるのが目に見えている。
　そんなことを考えていると、向かいから目線を感じた。

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