Sweet Room~貴方との時間~【完結】
「ナオちゃん、こっちこっち」
前からずっと約束していたエステに宏実さんと一緒に来ている。引っ越しのおかげで疲労の溜まった体には何とも幸せな時間だった。
「割り引きになるのはオイルマッサージだけどいい?」と宏実さんがチケットを見ながら言った。
そのチケットを横から覗き込むと『1000円プラスでオプション追加』と書かれている。
「オプションも付けられるんだね」
「何か付ける? 足つぼとヘッドスパと垢すり」
「足つぼがいいかな」
「じゃあ、足つぼにしよう」
受付を済ませてからオイルマッサージを受けた。マッサージ師の人には「肩と腰の凝り具合がすごいです」と笑われてしまった。
あれだけ、荷物を上げ下げしていれば凝るよね。やばい、眠くなってきた。うつらうつらし始めたころ、オイルマッサージが終わった。
オプションの足つぼマッサージは、2人並んで施術をしてもらいながら、宏実さんの旦那さんへの愚痴を聞いていた。
「本当に酷いんだよ。一口食べた途端、まずいって小さい声で言ったんだよ。確かに、料理は下手だけど。下手なりに頑張ったのに。それで頭にきたから、実家に帰ったのよ。で、喧嘩のことを話したら、涼太ももっと料理の練習しろって言うんだよ。慰めの言葉は一切なし。薄情な弟でしょ」
宏実さんが椅子から少し体を私の方に乗り出してきた。
「明日、うわ! そこ、痛いです。何のツボですか?」
痛みに声を歪めながら宏実さんが聞いた。
「肝臓です」
マッサージ師の人は爽やかな笑顔で足をグリグリと押している。
前からずっと約束していたエステに宏実さんと一緒に来ている。引っ越しのおかげで疲労の溜まった体には何とも幸せな時間だった。
「割り引きになるのはオイルマッサージだけどいい?」と宏実さんがチケットを見ながら言った。
そのチケットを横から覗き込むと『1000円プラスでオプション追加』と書かれている。
「オプションも付けられるんだね」
「何か付ける? 足つぼとヘッドスパと垢すり」
「足つぼがいいかな」
「じゃあ、足つぼにしよう」
受付を済ませてからオイルマッサージを受けた。マッサージ師の人には「肩と腰の凝り具合がすごいです」と笑われてしまった。
あれだけ、荷物を上げ下げしていれば凝るよね。やばい、眠くなってきた。うつらうつらし始めたころ、オイルマッサージが終わった。
オプションの足つぼマッサージは、2人並んで施術をしてもらいながら、宏実さんの旦那さんへの愚痴を聞いていた。
「本当に酷いんだよ。一口食べた途端、まずいって小さい声で言ったんだよ。確かに、料理は下手だけど。下手なりに頑張ったのに。それで頭にきたから、実家に帰ったのよ。で、喧嘩のことを話したら、涼太ももっと料理の練習しろって言うんだよ。慰めの言葉は一切なし。薄情な弟でしょ」
宏実さんが椅子から少し体を私の方に乗り出してきた。
「明日、うわ! そこ、痛いです。何のツボですか?」
痛みに声を歪めながら宏実さんが聞いた。
「肝臓です」
マッサージ師の人は爽やかな笑顔で足をグリグリと押している。