再生ゲーム・猿田夏彦のエンディング

　瓶はリビングの床で粉々になった。


散らばったガラスの破片、ほんのりと光るかけら一つ一つが、壊れてしまった愛しい君の心にも見える。悲しいね、りん……。


「僕には分かるよ……本当は怯えているんだろう？　唯一手に入れたかったものを失うのが！　

言ってみろよぉ……屈辱に耐え、大金を手に入れ、顔まで変えたのに、また失うんだ！　ああ～君の過去、すべて無駄だよ。むーだ！　残念だったねぇ～前のお仕事が君には似合っているよ。さっさと戻ったらどうだい？」


愛しい君は頬だけじゃなく、眼も吊り上がり、血走った。真っ赤になった君。本当に可愛いよ、世界一だよ君は。


テーブルの上にある、フルーツがいろいろ入った茶色のバスケットから、りんは果物ナイフを掴み、今度はこちらに向けた。


「……あんた……なにしに来たの？　それを言うためにここへ来たの……？　これ以上愚弄するならば、あんたの幸運とやらの耳毛ごと、あの世に送るわよ？　さっさと帰りな！」