恋を知らない女の子が恋しちゃった話
「清渼もしたら絶対ハマるのに…」
「いやいや…私は遠慮しとく」
「…ぶーぶー…」
私はケータイの電源を切って鞄の中に突っ込んだ。そのまま苺オレを飲み進む。
「清渼〜?男子から呼ばれてるー」
「ん?あぁーわかったー、ありがとー」
クラスの女子から清渼の名前が呼ばれた。
なぁんだまた呼び出しか…
「ごめんね光波?ちょっといってくる」
「おぉーおっけおっけ!いってらぁー」
ぱたぱたとストレートロングの髪を揺らしながら清渼は一人の男子と何処かへ行ってしまった。
ズッ…ズズッ
からになった苺オレのパックをわざとらしく音を立てて飲み干した。
そのままゴミ箱へ投げ捨てる。
はっきり言って…清渼はモテる。
スタイルよし顔よし運動できて頭脳明晰。何も言う所がない。
先輩とも付き合ってるのに告白される回数が減ることはなく…逆に増えていっている一方。
恋する女の子は可愛くなるとはまさしく清渼がいい例だ。
「はぁぁー……」
私は窓の外をみてため息をついた。