彼方は、先生だけど旦那様。

…私は颯君のことが好きでした。

というか、つい最近までずっと颯君のことを想い続けていました。

……そう、この結婚の話が出てから
私は颯君への想いを断ち切ったのです。
やっと断ち切れたと思ったのに…。
今、目の前にいる颯君の姿を見てしまっては……。

「ごめんね?なんか急に来たりして。」

「ううんっ!いいよ!嬉しい。会いに来てくれて…。もう帰って来てたんだ?」

…声も大人びてて、でもどこかまだ子供のあどけなさを残してて…。
茶色くてふわふわの髪の毛はあの頃のまま。くりくりな目も白い肌も…あの頃の匂いを漂わせたままで…。

自分でも心臓の音がバクバク鳴っているのがわかります。
頬も熱くて…。
この気持ちはもう断ち切ったはずなのに……。

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