彼方は、先生だけど旦那様。
薫様が車から出たのを
見計らい、
「…あ、薫様お帰りなさい!」
そう言ったけれど…
「………。」
薫様は、無言でそのまま門の方に歩いて行ってしまいました。
「…あ、…。」
止めようとしましたが
薫様の今の雰囲気がとても
冷たいのを感じ、怖くて止めれませんでした…。
「いいよ、ほかっときなよ。」
「……。」
「じゃあ、僕はこれで。
恋ちゃん、カップケーキありがと!」
「あ、うん。いいよっ。
じゃあねっ!」
こうして颯君は帰って行きました。
…薫様…
私は、早く薫様のところへ
行かないと…
そう思い、まだ見えている
薫様の後姿を追って
家へ戻りました。