彼方は、先生だけど旦那様。
私と薫様は、手をつないだまま
寝室へと入りました。
そして、二人でベッドに腰をかけると
薫様が話し始めました。
「ごめん…。
無視とかして。」
「いえ、気にしてませんよ、」
まだ沈んだままの薫様を少しでも安心させたくて、なるべく明るくそう
言ったのですが…
まだ暗い薫様。
すると、突然ははっと笑い出して
「恋々も疲れるよね。」
「…??」
「恋々は…
無理して僕のそばにいてくれてるでしょう?
だから疲れるよね、、」
「…!」
そんなことないのに、
私は好きで薫様のそばにいたいって
思っているのに。
そんな悲しそうに笑わないで…。
「そんなことないです。
私は、政略結婚だからとか
そんなの関係なく薫様のそばにいたいと思ってるんです。」
真剣に。
この想いが伝わるように、と
薫様に伝えたつもりでした。
だけど、。
「ははっ。
そんな嘘つかなくてもいいのに、」
「ちがいま、…」
「もう、大丈夫だよ。
颯太のとこへでもどこでも行っていい。
」
「…やだ、いかな…」
「…どうせ、形だけの結婚だし。」
その言葉は、とても悲しくて
苦しくて。
さっきまで薫様の手で包まれていた
私の手が冷えていくのを感じました。