プラチナブロンドに愛されて!!
「冬真様」
いきなり『冬真様』だよ。
フロントから50代前半くらいの男性が出てきた。
「松木さん『冬真様』は止めてよ。あ、それから『坊ちゃま』もね」
松木さんは苦笑を浮かべて
「はい」
「連絡しなかったのは悪いんだけどどっかレストラン入れる?」
「はい、大丈夫でございます。どの店がよろしゅうございますか?」
「琴はなにがいい?」
「えっ?あ、私はなんでも…あ、こんな格好でも入れる所」
「琴?琴お嬢様でいらっしゃいますか?」
「へっ?」
『琴お嬢様』って…なに?
松木さんが私を見て笑顔で
「お綺麗になられまして。見違えてしまいましたよ」
「えっと…」
何処かで会ったことがあるようなないような。
「覚えていらっしゃらないのも無理はないです。もう10年以上前のことです。鎌倉のホテルに坊ちゃま…いえ、冬真さんとよく遊びに来てらっしゃいました」
「あっ!あの時の…」
「はい」
「あの時はおやつをいつも食べさせて下さってありがとうございました」
冬真のお祖父ちゃんは鎌倉にもホテルを持っている。
いや鎌倉が元からあるんだけど。
プールがあったから夏になると冬真と泳ぎに行っていた。
本当は駄目なんだけど松木さんがコッソリ入れてくれていたのよね。
松木さんにはお世話かけました。