プラチナブロンドに愛されて!!
「どう?乗り心地は」
「うん。新車特有の匂いがする」
「乗り心地より匂いかよ」
「変?」
「いや。なんか琴らしい」
私らしいって…
私はいったいどんなイメージなのよ、冬真の中では。
「ん?」
「ううん」
聞かないでおこう、また変なことを言われたら困る。
「運転はどう?しやすい?」
「あぁ。あの親父のスポーツカーに比べたらどんな車だって運転しやすい」
あのスポーツカーか。
「なんでおじさんスポーツカーなんて持ってるのよ?」
前にはなかったと思うんだけど。
「お袋」
「おばさん?あれおばさんの車?」
「いや。俺が載ってる雑誌を見たんだと」
「……」
それとどう関係が?
「俺がスポーツカーに乗ってる写真で、それを見たお袋が『かっこいいわね。今度冬真に乗せてもらおう』って」
「は、はぁ?」
「お袋、何を勘違いしたのか知らないけど俺の車だと思ったわけ 」
「…で、まさか」
「そう。『冬真じゃなくても俺が乗せてやる』って」
「買ったんだ」
「ん。ほんと、あの二人も抜けてるつうか」
おばさんは確かに天然なところがある。
そしておじさんは…おばさん大好きな人。
だけど、ちょっと考えたら分かるじゃない、撮影用の車だって。
それを売り言葉に買い言葉で本当に買うなんて。
冬真に仕送りしないのにスポーツカーを買う。
おじさんの価値観が分からないわ。
いや、それを止めなかったおばさんとお祖父ちゃんお祖母ちゃん。
う~ん、やっぱり…冬真の家族だわ。