パレット~私と君との1440日~
第1章
(加恋サイド)
それは、私が10歳の時だった。
私は、生まれつき体が弱く風邪を引きやすかった。
そして、また今日も病院にいる。
熱を出したからだった。
なのに・・・
「加恋ちゃんは、心臓病になっています」
そう、先生が口にした。
10歳の私には、それが何かは
はっきり理解できなかった。
でも、両親が涙を流し、悲しんでいたことは憶えている。
「加恋は、あとどのくらい生きられますか?」
顔をこわばらせ、先生の言葉を待つ両親。
「余命は・・・あと10年ぐらいでしょう」
あと10年。つまり20歳。
それから、私の入院生活が始まった。
< 1 / 121 >