パレット~私と君との1440日~
俺たちを乗せた車は、病院からスタジオへ。
今日は撮影をするわけじゃないんだけど、
復帰と報告をスタッフさんにするらしい。
まだ不機嫌な気持ちを残し、車を降りた。
「あっ、龍斗だ」
長く続く廊下を歩いていると、あちこちからスタッフの声が聞こえる。
堂々と大きい声を出すわけでもなくボソッと小さく。
その声に対して、笑顔を作り、軽く頭を下げていく。
これも俺の仕事でもあるから、何にも言えないけど。
正直言うと、めんどい。