「1495日の初恋」
止められない
「痛いよ…。」
やっとのことで、声を出す。
矢島くんの力が緩んで、私との隙間ができた。
フーッと息を吐いて、スーッと息を吸った。
やっと冷たい空気。
緊張を解いて、束の間の休息。
矢島くんは身体を離して、腕立て伏せのような姿勢をとった。
腕の間に、私の顔。
横は向けない。
上しか見えない。
わあっ!深呼吸してる場合じゃない。
上から見下ろされて、蛇に睨まれたカエル状態。
矢島くんの様子が…おかしい…。
上から、顔が、だんだんと、近付いて…
ああ、これって、もしかして…キス?
一瞬、頭の中を過る、綾香の言葉。
「上原と…キス…達成…強引…すごい…。」
上原くんもしたんだよね…
もう、いっか…
熱に侵された頭は、思考を鈍らせる。
私は観念して、目を、閉じた。