「1495日の初恋」
自転車の後ろに乗せてもらって、家まで送ってもらった。
まだ家は暗く、誰も帰ってきてはいなかった。
「今日は、ごめんね。」
矢島くんが、ぽつりと言った。
「ううん、私こそ、迷惑かけちゃってごめんね。あ、そうだ、忘れるところだった。」
私は、カバンから小さな包みを出した。
「これ、誕生日プレゼント。渡すのが遅くなって、ごめんね。」
「もらっていいの?ありがとう。」
矢島くんは、小さく笑って受け取ってくれた。
「俺もこれ、上原さんに。」
そう言いながら、コートのポケットから小さな紙袋を出して、私にくれた。
「なに?」
「クリスマスプレゼント。海で買った。」
「え?うそっ?知らなかった…。」
「そりゃそうだよ、分かるように買ったら、つまんないでしょ?」
「う、うん…でも…私は何も…。」
「いいの、俺が記念に買いたかっただけだから。」
矢島くんは、いつもの明るい笑顔を私にくれた。