「1495日の初恋」

「結、明けましておめでとう。」


綾香と美紀が、うちの前まで迎えに来てくれた。
私は二人と一緒に、初詣に行く約束をしていた。


「はーい!今行くー!」

階段を駆け下りて、靴を履く。

3人で少し離れた、大きな神社にお参りに行った。


「すごい人だねー。」

とにかく混んでいて、1メートル前に進むのも、すごく時間がかかる。

もみくちゃにされながら、やっとの思いで賽銭箱にたどり着いた。


今年もよい年になりますように…。

あ、あと、受験もうまくいきますように…。
それから、みんなとも仲良くいられますように…。

それから…。


5円しか入れてないのに、お願いし過ぎたかな。

目を開けて顔を上げれば、綾香も美紀もいない。


あれ?どこ?

周りを見ても、人だらけでわからない。

あれよあれよと、人波に流されて、二人を完全に見失った。


ああ、まさか、中三にもなって、迷子になるなんて。


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