「1495日の初恋」
問題集を抑えていた私の左手に、突然矢島くんの手が重なる。
びっくりして手を引こうとしたら、強く握られて動かせない。
「矢島くん?」
「おまじないだから…俺の。」
「えっ…?」
「上原さんの手…縁起物だから。」
「な、なにそれ、もう、ふざけたこと言ってないで早く離して。」
「…いやだ。」
どうしていいかわからずに、黙ったまま下を向く。
「ねえ、上原さん。」
名前を呼ばれて、ドキリとして顔を上げた。
「合格したらさ、合格したら…俺に、ご褒美ちょうだいよ。」
「ご、ほうびって?」
「だめ?」
「だめというか…私…。」
「わかってる。それでもいいから、俺にくれない?」
「…な、何が欲しいの?」
「…それ。」