「1495日の初恋」
帰り道
矢島くんは、私の唇を指差した。
「え?…む、無理だよ…そんな…。」
「ふふふ、ウソだよ、冗談。」
そう言って笑いながら、パッと手を離す。
「そろそろ帰ろうか…送るよ。」
矢島くんは、帰る支度を始める。
私は、ドキドキした心臓をおさめるのが、やっとだった。
矢島くんは、先生に提出するものがあるからと言って職員室に向かった。
私は、先に下駄箱に向かう。
あ、上原くんだ…
昇降口の階段に座って、部活を眺めていた。
上原くんのそばを通り過ぎようとしたそのとき、くるりとこちらを向いて私に言った。
「矢島にご褒美あげんの?」