「1495日の初恋」
「ああ、笑ってくれてよかった。ね、上原さん、俺と付き合って。」
びっくりして、貯金箱を落としそうになる。
矢島くんがサッと手を伸ばして、かろうじてセーフ。
「おーい、買ったその日に壊すとかやめてくれよー!」
矢島くんは、いつもの明るい笑顔を私に向ける。
「な、付き合ってよ。」
「付き合うって言ったって…。」
私、矢島くんと付き合うなんて、できないよ…。
だって、私が好きなのは、矢島くんじゃないから…。
「矢島くん、あのね…
私が話し出すと同時に、矢島くんも話し始めた。
「俺、綾香から聞いたんだ。上原さんも俺のこと、好きなんだろ?」
「えっ…。」
サーって血の気が引いていくのがわかる。
「俺、それ聞いて、すごく嬉しかった。心配すんな。俺、上原さんのこと大事にするからさ。」
矢島くんは、私から貯金箱を取り上げて、頭の上に乗せた。
「やっほーーー!!」
そのまま嬉しそうに走り出す。
私、まだ付き合うなんて言ってないよ。
だけど、あなたじゃないなんて、絶対言えない。
あんなに喜んでくれているのに、違うなんて言えないよ…。