「1495日の初恋」
それは、私が矢島くんに向かって言おうと思っていた言葉だった。
「俺、急に引っ越すことになった。」
「えっ?ウソ…。」
「本当。突然父ちゃんの転勤が決まって…俺も一週間前に聞いた。」
「高校は?せっかく合格したのに…。」
「向こう…東京の高校に行く…。」
私は、言葉を失った。
目の前の矢島くんは、涙をぐっとこらえている。
「家族は、もう東京に向かってるんだ。俺も…すぐ、このまま東京へ向かう…。」
「そんな、今すぐだなんて…みんなには?」
「言ってないよ。心配かけたくないし、高校は、どうせバラバラだし…。」
「それでも、みんな、矢島くんのこと大好きなんだよ!」
「ごめん、ありがとう…でも、俺、上原さんに言えたから…それでいいんだ。」
「矢島くん!」
「いいんだ!」
矢島くんは、私を抱き寄せた。