「1495日の初恋」
「私は、上原の秘密を知っててね、それをばらされたくなかったら、付き合ってって言ったの。」
「上原くんの…秘密…?」
「うん、私は毎日上原を見てたから、上原が誰を想っているのか、気づいてた。それをみんなにバラすって、言ったの。」
「上原くんの…好きな人?」
「うん、絶対言わないでくれって頼まれた。そいつには彼氏がいるから、知られたくないって。邪魔したくないからって。」
「彼氏…。」
「うん。上原は優しいからさ、私が言うことも否定しないで、付き合ってるってことにしてくれていた。」
そんな…
付き合ってたのが、ウソだったなんて…。
何もかも、全部ウソなんて信じられない…。
「でも…キスは、したんでしょ?」
綾香は、半分笑った複雑な顔で答えた。
「付き合ってないんだもん、するわけないよ。ウソ。ぜ~~んぶウソ。」
綾香の気持ちを思うと、胸が苦しくなった。
ポロポロ涙を流して話す綾香を、責めることなんかできない。
きっと、綾香も辛かったに違いない。
どうして人の気持ちは、こうもうまくいかないのか…。