「1495日の初恋」
電車が来る。
待って上原くん、まだ、私、何にも話せてないよ。
ホームに続く階段を、必死で駆け上がる。
「結!」
名前を呼ばれて顔を上げると、階段の上に上原くんがいた。
一段ぬかしで、やっと上までたどり着く。
息が上がって、何も話せない。
上原くんの、驚いた表情だけが見える。
「お前、なんでここに…?」
私は荒い息をしながら、持っていた紙袋を差し出す。
「はい…これ、みんなから…。」
上原くんは、紙袋を受け取ると、ありがとうと小さくつぶやいた。
「これを届けに来てくれたの?」
私は、ブンブン首を振った。
「違う…上原くんに…言いたいことがあって…。」
息が上がったままで、うまく話せない。
電車がホームに滑り込んできた。
もう、時間がない。