「1495日の初恋」

胸を押さえて、息を整える。

「今日行っちゃうって聞いたから…。」


ドアが開いて、人が降りてくる。


「だから、私、言いたくて、上原くんに…。」

上原くんは、黙って私を見ている。



発車のベルが鳴る。


ちゃんと言わなきゃ。
上原くんに、私の気持ちを。



「だから、私、上原くんがす…




上原くんの手が伸びてきて…

強く私を引き寄せた。



何が起きたのか分からなかった。

今、私は上原くんの胸の中にいる。




「結が、好きだ。」



…えっ?



「ずっと、結だけが好きだった。」



うそ、どうして…。

上原くんの好きな人って…


涙が溢れてくる。

苦しくて、胸が張り裂けそうだ。




発車のベルが鳴り終わった。


ほんの一瞬だった。


上原くんは私を離して、後ずさりながら電車に乗った。




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