「1495日の初恋」

寂しい…。
会いたい…。

上原くん…。



歩いていた足を止め、もう一度振り返る。


やっぱりもう一度会いたい。
想いは膨らみ、自然と足が動き出す。

歩く速度はどんどん速くなり、やがて全力で駆け出した。

会いたい。

会いたい。


会いたい。




前方に、猛スピードで向かってくる自転車が見える。


あっという間に近づき、急ブレーキの音を響かせながら、わたしの前でピタリと止まった。



「…ゆ、い…まっ…て…。」


私は、信じられなかった。

だって、目の前に上原くんがいるなんて。



「やっぱり、もう一度、会いたくて…。」


上原くんは、荒い息のまま、自転車から降りてこちらを向く。

汗が光ってて…

ああ、ステキだなって見とれていたら、上原くんの手が伸びてきて…



その手が、私をぎゅっと包み込んだ。


< 157 / 388 >

この作品をシェア

pagetop