「1495日の初恋」
「…なんていうか、本当に上原さんの彼氏なんですか、その人?」
「えっ…うん、たぶん。」
「だってさ、おかしいですよね?何カ月も彼女をほっておくとか。普通は、連絡ぐらいするでしょう?」
「あ、うん、でも、寮だから、みんなの前で電話するのは恥ずかしいみたいで…。」
「ふ~ん、ま、いいですけど。」
「うん…。」
それから、しばらく沈黙が続いた。
「…もし、俺だったら、好きなやつとはずっと一緒にいたいって思いますけどね…。」
宇佐見くんが、私の方を向いてつぶやいた。
「あ…うん、そうだよね…。」
「そうですよ。一緒にいたい。」
「…宇佐見くんは、好きな人いないの?」
「俺?…いませんよ。」
「亜紀は?仲いいでしょ?」
「あいつは恋愛対象じゃありません。」
「そうなんだ…私はてっきり…。」
「ばかなこと言わないでください。俺が好きになるとしたら…。いや…なんでもありません。」
宇佐見くんは、下唇をつまんで目を伏せる。
次に目を開けたときは、ノートの上に、一心にペンを走らせていた。
宇佐見くんの様子が気になりつつも、私も黒板に書かれた文字を書き写した。