「1495日の初恋」
突然の別れ
中庭のベンチに座る。
柔らかな日差しを受けて、木漏れ日がゆれる。
ふっと風が吹いて、上原くんの前髪を乱していった。
「由里子は…あ、あのベッドに寝ていた女の子…あいつは、俺の代わりに事故にあったんだ…。」
事故?
上原くんの言葉に、息をのんだ。
「…どういうこと?」
「俺、正月に家に帰るって、結に約束したよね?」
私は小さく頷く。
上原くんも、私の目を見て頷いた。
「一日の朝、帰る準備をしていたら、先輩から買い出しを頼まれたんだ。そのとき、もう電車の時間が迫っていてね、買い出しに行っていたら、電車に間に合わなくなる。
困っていた俺を見かねて、由里子が代わりに買い出しに行ってくれたんだ。
俺は急いで帰りの支度をして、自転車で駅に向かった。
その途中、壊れた自転車と救急車が見えて、道路には頼まれた買い出しの食糧が散乱していて…。」
そのまま自分も病院に行って、今に至っているという。
上原くんは、両手で顔を覆った。
私は言葉が出ない。
宇佐見くんが、そんな私の気持ちを代弁するかのように静かに聞いた。
「でも、なんで、上原さんと別れなきゃいけないんです?」