「1495日の初恋」
「上原さん、大丈夫ですか?」
「あ、う、うん…大丈夫…。」
本当は、声を上げて泣いてしまいたかった。
でも、上原くんだって、事故にあった由里子さんだって辛いはず。
「宇佐見くん…ありがとう。」
「うん…帰りますか…。」
私たちは、家までの帰り道を一言もしゃべらなかった。
「とりあえず、ちゃんと寝てくださいね。」
「…うん。」
宇佐見くんにお礼をして、見えなくなるまで見送った。
家のドアを開け、そのまま自分の部屋に戻った。
誰にも会いたくなかった。
声が漏れてしまわないように、布団を被った。
涙が後から後から溢れてくる。
本当に、私の手の届かないところに行ってしまった。
上原くん、上原くん、上原くん。
もう終わりだなんて、そんなの嫌だよ。
身体がバラバラになってしまうほど、痛くて苦しかった。