「1495日の初恋」
「…えっ…。」
「まだ、忘れてなんかいないんでしょ?あいつのこと。」
ドキンとした。
確かに忘れてなんかいない。
でも、みんなの前では、それは隠していたはずで…。
「ほら、やっぱり。」
「なんで…?」
「上原さん、ウソつけないですよね…俺と反対。」
宇佐見くんの目が、きゅっと細くなる。
笑っているのか怒っているのか、複雑な表情で私を覗き込んだ。
「メシ、ちゃんと食べてますか?」
声が優しく響いてくる。
心の中で押さえていたものが、バチンとはじけた。
涙が溢れて、流れて落ちた。
もう誰の前でも泣かないって決めたのに…。
「無理…しないでくださいね。」
私は両手で顔を押さえて、声を殺して泣いた。
「ほら、これ…。」
黄色いハンカチ。
あのとき、神社で貸してもらったものと同じだった。